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銀の魚を飼う方法・2

 カップを取ったザンザスが、口をつけたのはルッスーリアが出て行った後だった。飲み込むのを見てから綱吉は自分のカップを持ち上げ、そういえばザンザスの飲み物はいつも、彼の傍らに控えていた銀が毒見をしていたのだということを思い出した。背後にいる銀も同じように、それを望んでいるけれど、それをさせたことはまだ、ない。

「スクアーロは元気?」
「ああ」
「本当? ちゃんと生きてるの?」
「生きてる」
「本当?」
「てめぇに嘘を吐いてなんの得がある」
「…あの、白蘭との戦いの後から、一度も姿を見せてないじゃない。怪我は治ったんでしょう?」
「たいした怪我じゃねぇ」
「だったら、顔だけでも見せてくれないかな」
「必要ねぇ」

 ザンザスは黙って茶を飲んでいる。怒っているわけではないようだが、スクアーロの消息は気になる。
 彼は本当に生きているのだろうか、それが綱吉には一番心配なことだった。流石にザンザスが彼を殺すようなことはしないと、今はわかっているけれど。

「ザンザス」

 息を吐く。目を閉じて、開く。すっと瞳の虹彩の色が変わるのがわかる。ザンザスがカップを置く。

「命令したくないんだ。スクアーロに会わせて」

 じろりと赤い瞳が綱吉を見る。

「……ずっと気になってた。スクアーロの、腕、どうなってるの…?」
「怪我は治ってる」
「そうじゃなくて。…腕、新しい義手、作ってないんでしょ。……肘まで、柘榴に……」
「ああ。見苦しい姿になった。ドン・ボンゴレに、見せられるようなもんじゃねぇ」
「ザンザス」

 声をかければ赤眼の王が、じろりと視線を寄越した。

「それでも、ちゃんと、生きてることを確認させて。……彼がいなかったら、助けてくれなかったら、たぶん、俺たち全員、アジトを出た段階で、死んでいたはずだから」

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