1・素材は新鮮でイキがいいものを選ぶこと 「……御曹司は、どんな女が好きなんだぁ?」「おめぇ、――この状況でそれを聞くのか?」「え?」見上げてくる瞳は透明でキラキラしている。ああ、光だ――とザンザスは思った。細い子供の手は、誰よりも早く人の息を止めることだって出来るのに、なんでこいつは何もかも、キラキラ光っているのだろうか。「……なに…なんかすんのかぁ?」ベッドの上にひっくり返した体は無防備で、急所をさらしているのに、それをかばったり、隠したりする気配がない。シャツのボタンの隙間から、えぐれた鎖骨が見えて、そこにうっすらと汗が浮かんでいる。ほんのりと埃っぽい汗のにおい。ぞくりと背中が震える、体の深いところが慄く。してはいけないことをする楽しみに、興奮している事を知る。しかしすぐにそれを追い払う。どうってことない、こんなこと。女と男で世界の初めからやっていることとは違うが、男だけで四千年前からやっていることだ。歴史の教科書にだって何度も出てくるし、いつだって享楽の代名詞だ。「ふん……何も知らねぇんなら好都合だ」「え、なに」「教えてやる」「……ザ、ザンザス……?」玄人の女に教えられたことを、このキラキラしたうるさい餓鬼に、試してみたくなったのだ。初心な小娘を慣らすのも悪くないが、無垢な子供を大人にしてやるのも悪くない。寝転がっているスクアーロの上に覆い被さる。影になったスクアーロの瞳が見開かれるのを見下ろすのは、たいそういい気分で――暴れまわる舌を捕まえるのが難儀だったが、そんなこともすぐザンザスは忘れた。ザンザスの生活は八割の無関心と二割の不愉快で出来ていたが、そのときだけはそのどちらでもなかった。-----------------------------------17日の本のサンプルもどき出ますように! [5回]PR