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あなただけ

YSの基本はここだよなー、という友人の突っ込みに同意。




あなただけだ。

そういわれて震えたのは、たぶん、魂とか、そういうもの。

あなただけだ。

理解している、感じている、そういう意味なら本当に、俺はおまえにとって唯一で、俺にとってもおまえは唯一だ。
ボスは俺の唯一だが、ボスにとっての俺は唯一ではない。
おまえにとってのツナは唯一だが、ツナにとってのおまえは「みんな」のひとりで、唯一ではない。
それと同じように、俺たちは相手にとって、「唯一」だ。
手の中に得物を持っているという点において。
誰よりも優れた能力を、そのために使うことを厭わないということにおいて。

相手の命を、その腕で奪う感触を、知るものとして、という意味で。

あなただけだ。

そうだろうな、俺もそうだ。
俺にとってもおまえだけが、俺の刃の意味を知っている。おまえにとっての俺だけが、おまえの刀の感触を知っている。おまえだけが、おまえだけに。

わかってるんだろう、山本武。

俺たちはそうして、刀を手にして向かいあい、打ち合うそのときが一番、近いということを、おまえはわかっているんだろう。そのとき俺たちはひとつ、ひとつになる――間に誰かを入れることなく、純粋に向かい合える。魂がぶつかる、その快感は知っているだろう。

直接肌に触れて、キスをして指を絡め、身をよじって相手を受け入れても、俺たちはずっと、遠いことを知っているんだろう。
肌に触れればわかるだろう。俺たちの間には、刃で向かいあうときもずっと多く、何人もの人間が、間にいることがわかるだろう。

おまえだけだ。

裸の肌の間にそんな、誰かの気配があることを、知っていても抱き合いたがるのは。

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