忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

うそつきな唇

スクアーロがいや、という。
いや、いやだ、いやだという。
それは本当か、と問いかけても、いや、いやだと繰り返すばかりで、「なにが」「なにを」いや、なのか、その唇は答えることがない。

いやなのか。

そう問いかけるのにそうだ、と答えないくせに、なにをしてもいや、いやだと答えるのだ。
スクアーロ、おまえの口と体はいつも反対のことを言う。
俺はどちらを信じればいいのか、おまえはわかっているのか?

いやなのか?

今度は質問の意味をこめて、強く、よく聞こえるように耳の中に、舌を入れて注ぎ込む。

いやなのか?

こちらもなにも言っていない。なにを、なにが、いやなのか、なんて。
なのに唇はさっきまでの饒舌さをどこかへ隠してしまったらしい、舌が固まって動きゃしない。
答えは同じように言えばいい、いや、いやだといえばいい。言えるだろう、さっきまでそうしていたんだ嫌がっていた、背中は固かったし膝はこわばっていた。手をぎゅっと握って、仰け反ったうなじにも力が入りすぎていて、おもわず噛み切りたくなりそうなくらい。

いやなのか?

昔はすぐに答えていた、いいと答えて抱きついてきた、嫌だって言ってるだろうって顔を背けていた、なのに今は答えられないのか、イエスもノーも言えないのか。

黙っていたらいいように解釈するぞ、容赦はしないぞ知ってるだろう。いや、いやだと言ってるくせに、潤んだ瞳を隠さないなら。

唇ばかりは言葉だけで、いや、いやだというけれど、濡れた色も赤い色も、それを全否定しているってことを、まだおまえは知らないのか?

拍手[6回]

PR