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その色こそが唯一の

山→スクかなぁ…これ


なんというか、体の中から光る人種ってのはいるもんだ。

そんなことを時折、山本武は考えることがある。

日本人にはない光だよな。
やっぱり肌が全然違う。雪国出身の知り合いがそんな色の肌をしていて、シャツの下の素肌がちょっとどきっとするほどキメが細かくて白くて、ああ、こりゃ肌の白いの七難隠すってのは本当だな――とかなんとか、思ったものだったが。
それよりももっと、色というものがない。全体に。

「おめーそんなに珍しいのか?この髪が」
「うん」
「物好きだなぁ」
「しょーがないじゃん。日本には基本的に黒髪の人間しかいねーんだし」
「そうだなぁ」
「目が青いのなんか滅多に見ねーもん。ホントに見えてんのか今も不思議」
「てめぇんとこの嵐だってそうだろ」
「うん。だから昔はしょっちゅう怒られた」
「あっそ」

仕事の話以外でも案外、他愛ない会話に付き合ってくれるもんなんだなー…と、話をするようになったしばらくしてから気がついた。
なんでこんなに世話好きなんだろ。
やっぱりあのこわーいボスのせいかなー、なんかあのヒト、ほっとけないとこあるもんなー、俺近づきたくないけど。

「そんなにあっちだと疲れるのな?」
「はぁ? なに言ってやがる」
「だぁってスクアーロ、いっつも俺のとこ来ると気が抜けてるじゃん」
「おめぇのところで気を張ってるようじゃぁ、ボンゴレも大したことねぇだろぉ」
「あ、そーゆー意味?」
「さぁなぁ?」

そんなこと言いながら、たぶん自分と同じ気持ちになっていること、知ってるかもしれない。スクアーロは、わかる。わかることが判ってる。判ってることを知ってる。
安心してる、のは俺だけかもしれないけど。

食事をしているときのスクアーロはよく喋る。口にものを入れて喋る不調法はしないけれど、合間に口を聞く、その会話がどこか、立会いの間合いに似ていて、楽しいけれど少し緊張する。緊張するけど楽しくて、自分が一番機嫌のいい顔、していることもよくわかる。そんなこともたぶんわかってる。同じような感じで、返してくれていることもわかってる。
甘い匂いがして、やさしい声で喋って、長い指が動いて、そして中からキラキラ光る。

銀は白銀、つまりはもともと、白のことを指す。
白いということは、黒いということと同じくらい、強いことだ。
余人のなにものでも、汚れない、色づかない、色あせない。だから銀、だから白。
光を跳ね返す色、光を導く色、光を遠く色。

「おめぇは綺麗に食事すんなぁ」
「そうかなぁ? 箸はオヤジにすげー仕込まれたけど」
「箸はいまんとこ一番面倒な食器だったぞぉ…。俺きれーに使えれば、どんなもんだって綺麗に食えるぜぇ」
「トマトのソース、シャツの飛ばさなくなったしな!」
「跳ね馬におめぇの爪の垢でもせんじて飲ませてやりてぇぜぇ」
「…今でも駄目なんだ?」
「一緒に二人だけでメシ食いに行きたくなくなるひどさだぜぇ」
「そらひでーな!」
「食いもん粗末にするのが許せねぇなぁ」
「確かになー!」

ああもうまったく白い、肌も髪も睫毛も産毛も、指も爪もみんな白い。
それほど赤いわけじゃないんだろうとは思うのに、唇がそこだけ赤くて、だからやっぱりそこから、目が離せないのは、俺のせいじゃないよな、これは。

日本人は白が好きなんだよ、神様はいつも死んで生き返って再生するから、永遠に変わらないものなどないと知っているから、季節と同じように神様も再生すると思っているから、だから神様に白を捧げるんだよ。神様は白だから、何度汚れても壊れても死んでも、穢れを払って禊を受けて綺麗になるから。

剣にも神様がいるなら、きっとこんな形してんだろうなと思いながら、山本は目の前の白いものを、至極楽しげに眺めていた。





夢見すぎだろーと思わないでもないが自重できる状況ではない(笑)

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