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俺のカス鮫がこんなにかわいいわけない・2

やっちまった……!!!

ザンザスは久しぶりに後悔というものをした。彼は滅多にそんなことをしたことがないように見えるが内実は結構後悔というか痛恨というか必殺の一撃を食らったことを何度も何度も反芻して後悔したり後悔したり後悔したりすることが結構多かった。完璧な無表情と元から感情を表に出さない性質と、それから長年の帝王学やそのほかもろもろが彼を無愛想で無表情で不機嫌な御曹司たらしめんとしたが、而してその内実は実に繊細で叙情あふるる一青年に過ぎなかった。本人がそれをあまり認めようとしてなかったし、そもそも彼の求める相手がそれをほとんど察することが出来なかったせいもあるだろう。

やってしまった。

ザンザスはがっくりとうなだれて傍らで転がっている白い薄い体を見た。背中に浮かんだ汗に長い髪が濡れて張り付いているのが見えた。ごろんと転がって、すうすう気持ちよさそうに寝ている小さい形のいい頭を見た。あたりの惨状にはとりあえず目をつぶった。
畜生このカスザメが今日は妙にカワイイ顔してるのがよくねぇんだ、なんでこいつはこんなにカワイイ顔してやがるんだえええ? 俺の目がおかしいのか、キラキラしてて目があわせられないじゃねぇか、なのに一分でも多く見ていたくてしょうがねぇのはどういうわけだ、まったく俺はどうかしてる。

まったくもってどうかしていた。
かわいいカワイイアホでバカで美人でかわいくて脳みそが足りなくてかわいくてしょうがなくいカスザメは今夜も無防備な格好で部屋にやってきて酒を飲んでザンザスにしなだれかかってきた(ように思えた)。この酒おいしいなぁ~と言いながら、今年の新酒のシーズンに出回り始めたワインを楽しそうに飲んで、つまみを少し食べて、けらけら笑ってソファに頭を乗せて、ザンザスを見た。見上げた。長い睫毛が少し濡れていて、そこに少し落とした明かりが反射してものすごかった。何がってスクアーロが凄かった。なんだあれは神話の女神か伝説の美女か、それともルーブルに強奪された神の使いか、天井に舞うバラの花びらもかくやの美しさだった。とにかくむちゃくちゃ綺麗だった。

心臓が止まった、これはもう絶対に一回か二回は軽く止まった。けれど表面は全然、そんなことがないように見えた(少なくともスクアーロには――スクアーロはかなり雰囲気に酔っていたので、普段から少ない空気を読む能力が完全に欠如していた)。

完全にキスを誘われていたのはわかったが、しかしザンザスはそこで、はたしていままでどうやってスクアーロとセックスしてたんだっけ?ということを思い出せなくなっていた。本当に真っ白になってしまって、いままでこんなかわいい男とどーやってあれやこれやあんなことやそんなことをあはんうふんあんあんをしていたのか、思い出せなくなっていた。
どういうことだ。スクアーロがこんなにかわいいことと何か関係があるのだろうか。
いきなりこのカスザメがキラキラしたりするのとこの突発的な記憶喪失は関係があるのだろうか。ザンザスはそんなことを一瞬考えたが、しかしまるで毎日の習慣のおかげで手足も指もスムーズに動いていたので、ザンザスは習慣てすげぇ、と内心思ったのだった。

そんなこんなであはんうふんな雰囲気になったのはいいが、とにかくカスザメがかわいくてかわいくてかわいくてなんだかもう滾って滾ってそうがないので、ザンザスはスクアーロをベッドに押しつけて、うつぶせになったスクアーロの体をガツガツ容赦なく扱った。最近はそんなことをしていなかったのでスクアーロはなんだかうまくあわせられず、しかしそのせいでこれまた絶妙に感じてしまったらしく、声がとにかくエロくていやらしくてどうしようもなかった。顔なんか見なくても限界突破しそうだった。というか顔なんぞ見たら非常にやばいのではないかと思うほど、それはそれは危険きわまりない状態になった。ヤバかった。
顔を見たがってキスをしたがる頭をシーツに押し付けて、背中からガツガツ突いて抉って揺らして出した。俺はセックスを覚えたてのガキか!と自問したくなるほど酷かった。
おかげで三度目が終わったら、スクアーロはうんともすんとも言わなくなっていた。最後は泣き出して、でも結局止められなくて、手を振り払おうされるのか、引き寄せられたのかわからない状態になって、ぐちゃぐちゃでどろどろになってしまった。
あんまり静かなので引き起こしたら半分気絶していて、それでも体は反応していて、なんだかもうたまんなくなって抱きしめたらすごい勢いで絞り取られてひとたまりもなくなってしまったりした。
ものすごく気持ちがよくて気持ちがよくて、それでもってようやく気がついたら、スクアーロは完全に気絶していて、力の抜けた長い手足をぐちゃぐちゃのベッドに横にしたら、気持ちよさそうな寝息が聞こえてようやくほっとして我に返った。

まったくなんだってんだ、なんでこんなことになってんだ。こんなことするはずじゃなかった、もっとこう…いろいろ…いや、いろいろじゃなくてそっと…じゃくて…あああ、そうじゃなくてそんなことじゃなくて。

混乱しながらザンザスはベッドの上ですうすう眠っているスクアーロを見た。
スクアーロはあんなにひどく抱かれたのに、妙に気持ちよさそうな顔をして、すやすや眠っていた。それがまたものすごく可愛かった。可愛くて可愛くて可愛かった。
見ているといつまでも見続けていられそうだった。
このまま見ているとさすがに寒いので、ザンザスは汚れたままのシーツにもぐりこんで、死んだように眠っているスクアーロの顔を見ることにした。スクアーロにもシーツをかけて、上から羽毛布団をかけた。肩が寒そうだったので抱きよせて、ベッドヘッドに並べた枕に引きずりあげて、至近距離でしげしげと眺めた。
目元が赤くなっていて、そんな色のアイラインを引いているように見えた。

スクアーロがなんでこんなにかわいいのか、ザンザスには今夜もさっぱりわけがわからないままだった。

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