忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

禁色(本文サンプル)

禁色表紙サンプル

内容はザン子×鮫男なので折りたたみます。
先に体を洗っていたザンザスは、すでに湯船に入っていた。

湯を張ってそこに体を漬ける、という入浴の習慣が欧州の人間にはないが、火山と温泉の国ではそれほど珍しいことでもない。
水を豊富に使うこということは、雨の少ない国では権力と直接繋がっている。
大きな浴槽に湯をため、中に体を浸すという贅沢は、はるか昔から、特権階級だけに許されたステイタスであることは替りがない。いまも、日常にそれを許され、行っている女の、たおやかな体が浴槽の中で漂っているばかりだ。
 
ザンザスに見つめられながら体を洗うスクアーロの、恥ずかしがってぎこちない動きが、いっそう彼女を楽しませる。
まなじりがゆるみ、厚ぼったい唇が、ゆるく開かれてかすかな息を吐く。
視線で犯されているようで、スクアーロはひたすら恥ずかしくなってしまう。
体に散った体液を洗い流し、開いて緩みきった後孔から溢れるローションを落とすところまで、至極真剣に、かつ楽しげに見つめられ、それだけで再び熱が兆してしまいそうだった。
吐き出す蜜は足りないが、感覚だけはまだ、全身がびりびりしびれているようで、視線で撫でられているだけでぞくんと甘い官能が背を走ってしまう。

「どうした? 手が止まっているぞ」
「あ、…ああ、…」
「髪を洗ってやろうか?」
「え、いや、いい…」
「ふふ」

楽しそうにザンザスが笑う。
顔を上げてそれを伺ってしまって、スクアーロは一層、耳たぶが赤くなってしまうのを感じる。
微笑むザンザスはまさに麗しい一輪の薔薇のようだ。
ルージュが落ちてもなお赤い唇が絶妙の曲線を描いており、びっしりとはえた睫毛には蒸気がたまってこぼれ落ちそうだ。
濡れた髪がなやましく、首筋や肩に張りついている。
女にしてはがっしりした体を持っているザンザスだが、そうして輪郭を黒髪で縁取ると、女らしい曲線が強調されてしまって、どこかあやうい魅力を放つことを、スクアーロはいつからか知っていた。

湯船からすっと腕が伸びてくる。
促されるまま、スクアーロは自分の髪と頭を差し出してしまう。
全面的な服従の姿勢。
きれいに整えられた爪が、シャンプーを取って愛玩犬の毛並みを洗い始める。

頭を垂れ、体を丸めて、それを受けているのが非常に気恥ずかしいと思うのと同時に、大変な栄誉であるかのように、スクアーロには思えてしまった。

(中略)

「流すぞ」

シャンプー、リンス、トリートメント、順番に施されて頭皮を探られる。
それはひどく官能的で、スクアーロはうつらうつらと眠くなってしまう。
それを耳たぶを引っ張られる痛みで叩き起こされてしまう。
覚醒したスクアーロが変な顔をしているのを見て、ザンザスがまた笑う。

「おまえの顔は本当におもしろいな。見ていて飽きない」

拍手[2回]

PR