まちでうわさのおおきなおうち(総集編)本文サンプル 夏コミの新刊は「まちでうわさのおおきなおうち総集編」です。文庫サイズで216P。お外で読めるカモフラージュカバーつきw製本がんばります…。描きおろし52P。たぶん60超えた二人のリゾート話。--------------------------------------------「おもいだすのは光る海」「バカ鮫もすごく元気そうじゃね? つーか先輩マジで化けモンじゃねーの。流石に少しジジィになったけどさー」「おまえも立派な中年オヤジじゃねぇか」「そらそーでしょ。俺フツーに年齢相応だと思うけど?」「そんなオヤジいるかぁ!」「まぁまぁこんな時に年の話するなんてヤボでしょ。あなたたちいい加減落ち着いたらどう? そろそろボスがお待ちかねよ、メイン呼んでもいいかしら?」 別々の道で歩くようになって数年たっても、食事の場面でオカマの言葉は絶対だ。有無を言わせない指示を、素直に聞くのは習慣のようなもの。 年甲斐もなく喧嘩を始めそうになる二人を黙らせるのも慣れたもの。(中略)スクアーロは出された酒が気に入ったようで、飲むペースがいつになく早い。大丈夫かとルッスーリアが視線で問いかける。赤い瞳は隠されているが、視線は自分の右隣、黄金色に冷えた香り高い酒を飲む恋人を見ている。「ね、ボス、俺しばらくこの国いるからさー、ヒマだったら王子と遊ばない?」「なんだそらぁー、おめぇ一人なのかぁ?」 デザートに入る前に王子はそんなことを言う。 そういえば王子はヴァリアーを引退してから数年間、世界中を旅していた。 半年ほど前にハワイに部屋を買い、今はそこで暮らしているという。「随分俗っぽいところで暮らしてるんだなぁー」「まーね、でも買った部屋半分は貸してるよー。マーモンがそういうの詳しいから」「あいつまだそーゆーことやってんのかぁー?」「金増やすのって、マーモンにとっちゃ生きがいみたいなもんじゃね? 止めさせる理由はないから好きにさせてるけどさ」「おまえ、財産まるごと預けてんのかぁ?」「他のどんな奴より、アイツが一番信用出来るっしょ?」「そら、そうだわな」 久しぶりに会うと話は尽きない。 マーモンはどうやって突き止めてくるのか、突然やってきて一緒に旅をしたり、顔を見に来ただけで別れたりを繰り返している。(中略) ベッドに連れ込んでジャケットを脱がし、ベルトを外して靴を脱がす。 スクアーロは珍しく靴下を履いているのを見て取って、それも丁寧に脱がす。 ぐったり、いい気持ちで伸びている魚はほんのり赤くなっていて、見た目だけなら相当に美味しそう。 酒の匂いも強くて甘く、普段よりずっと近づいても不快にならない程度ではある。 だがしかし、酔っぱらいは酔っぱらいだ。 ザンザスも上着を脱いで体をゆるめ、冷蔵庫から水を取り出す。 寝ているのかとベッドに近づけば、白い手が伸びてきた。「みず」「ほらよ」「あーりがとう、なー、ザン、ザスぅ……」 口を開けて水を飲む動作に不安はない。 力もそこそこ入るようで、ちゃんとキャップをひねって開けられるようだ。 ごくごく、喉が動くのを眺めながら自分も水を口にする。(中略) 促されるままに近づいて、手の中に体を落とす。 背中に回される腕は弛緩した表情に比べると切羽詰まった力がある。 ぎゅっと抱きしめられるのに顔を寄せて、欲しそうな唇に封をする。「辛い」「そっかぁー?」「魚くせぇ」「おまえは甘いぜぇー。マンゴーの味がするなぁー」 もう一度キス。もう一度。もう一度。 チュッチュッと何度かリップオ音が響く。 そのうちスクアーロのほうが我慢できなくなって唇を塞ぐ。舌を滑りこまされる。しばらくスクアーロの味あわせておきながら、今度はそれを押し返す。間で味蕾をこすりつける。じゅく、と甘い音がする。甘い、とスクアーロは言うが、それはスクアーロ自体が甘いのではないのか、とザンザスは考える。キス。長い時間相手を味わう。 久しぶり、でもないが、唇の間に火花が起こるのが判る。「まだするか?」「ザンザスの味がするぜぇー」「おまえの味は魚だな」「まっさかぁーんなことあっかぁー。俺ぁニンゲン、だぜぇー」「そうだな。ヒレはついてねぇ」 ついていたら、泳いでいってしまうから。「確かめてみるかぁ?」 あからさまなお誘いに、素直に乗っかることにして、ザンザスは体の力を抜いた。 ベッドのスプリングは最高級の品質を誇り、ぎしりとも鳴りはしなかった。--------------------------------------------通販遅くなってしまってすみません。明日現在受けつている分を送りますのでしばらくお待ちください…!! [2回]PR