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地球温暖化防止対策

「ボス~任務お」

その日、ベルフェゴールは至極真面目に仕事を終えたところだった。珍しくボンゴレ側から助っ人が来て、晴の守護者との合同任務だったのだ。まっすぐで明るく表裏のないこの一本気な男は、うっとうしいがわかりやすいので、ベルは嫌いではない。
その小うるさい男との任務を終わらせ、報告書を書いて、ボスの部屋に持っていき…ドアを開けたところで、金髪の王子はしばし固まった。

「どうした。入れ」
「‥‥‥‥オジャマシマース」

発音が棒読みになった。間接がぎしぎし言っている。えーと、歩くときって右足と一緒に出すのは右手でいいんだっけ、違うっけ、左足だっけ、あれれ??
ベルフェゴールは軽く混乱した。

いつもようにザンザスはヴァリアーの屋敷の最上階にいて、自分の執務室にきちんといた。大きなマホガニーの机に背もたれの立派な椅子、このご時世でも使われる頻度のやたらと多い万年筆の並ぶペンホルダーと、ノートパソコンとスタンドが並ぶ、広々とした机にむかっていた。
彼らのボスは非常に勤勉で、今日も朝から仕事の決済から報告書の確認やら、新しい仕事のシフトやらの書類を眺めていた。
しかし。

「よこせ」
「ハーイ」

ベルは手を伸ばして書類をザンザスの机の上に置く。普段よりはるかに遠い場所で、そうっとそれを置くのに、ザンザスがふっと視線を上げて、王子の顔を見た。

「今日はずいぶん早かったな」
「王子だもん。‥‥っていうか、ササガワってちょー使えるヤツで驚いた」
「そうか」

報告書のいくつかについての質問とその結果、感想を聞かれて答える。ボスはいたって普通、至極普通、きわめて普通に、いつものように、仕事をしていることに違いはない。

――その、膝の上に、余分な荷物がのってさえ、いなければ。

「あのさ、‥」
「なんだ」
「すごく基本的な質問してもいい?」
「‥‥‥」

ザンザスはちょっといやそうな顔をした。そうすると、仕事の上司の顔が一変して、やけに若々しい青年の顔になる。
あ、ちょっと地雷踏んだかな、とベルフェゴールは背中に神経を集中して、いつでも逃げられるようにしていた。



「なんで膝の上に先輩が乗ってるの?」



―――確か今日は休みだと言っていた。どこか行くんだとか言ってたような、聞いたような‥気のせいだろうか。

「寒いからって乗ってきやがった」
「はぁ?」
「暖房の代わりになるとか言いやがってたかな」
「‥‥寝てるの?」
「見ての通りだ」

ザンザスの肩に、小さい頭と長い髪を乗せて、がっくりと力を失った、長い薄い体が、ザンザスの膝の上に向かい合わせに乗っていた。背中のあたりに落ちてしまった毛布らしきものが見てとれて、ベルはなんだか、ため息をつきたくなった。

「先輩なんか筋肉ばっかりだから重いだけじゃねーの?」
「筋肉のほうが脂肪より温かいぞ」
「でも重いでしょ?」
「そうでもねぇ」

そんなことを言いながら、完璧に寝ているスクアーロの背中に手を添えて、ザンザスはノートパソコンの電源を落とすために手を伸ばした。ぎゅっと体が寄せられても、腕の中の体はぴくりとも動かす、長く伸ばした両手で、ザンザスの背中を抱きしめているままだ。

「邪魔じゃないの?」
「温度を下げても寒くはねぇからな」
「それでプラマイゼロにしちゃうわけ?」
「静かでいい」

あー、なるほど、先輩、ボスとどっか行くつもりだったわけね。
それが出来なかったんでこんなことしてるのかなぁ?

「起きないの? 馬鹿じゃねぇ?」
「起こすな。うるせぇ」

寝かせておいたままでいいんだ。マジか。すげーな、ボスったら、鮫甘やかしすぎじゃねーの。というかなんで膝に乗せたままで仕事してんの。ありえねー!!

そう思ったが、しかしベルフェゴールはそれをそのまま口にするほど、愚か者でもなかった。仕事に支障がなくて、別に見られてもかまわないならまぁいいんじゃねーの?

報告が終わったので、退室を促される。ベルはさっと部屋を出て、さて、談話室に行くかな~などと思いながら、先程の話をしようかどうしようか、ちょっとだけ考えた。


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寒い夜だから~明日を待ちわびて~~♪
温暖化防止対策に子どもと一緒に寝るといってた知人を思い出した。
ボスちゃん寒がりかもしれんのう

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