迷彩教室・3 自転車のライトをつけて校門を出る。どこかでおむすびを買って食べてから、今度は塾にいかなくては。駅の反対側の塾まで、学校から少し距離がある。歩いていけないことはないが、自転車を持って帰らないといけないのだ。さて、今日は少し時間があるからスーパーの特売が狙えるかもしれない。安くなっていたらニ個買えないかな、そんなことを考えながら校門を出る。最近とてもお腹がすくのだ。 自転車に乗って走り始めたらすぐに、カバンの中から音がした。相手を特定した着信音、これは別の学校に行っている友達からだ。なんだろうと思って自転車を止めてメールを見る。「あ、なんでそんなこと急に…、」 返信するのももどかしく電話番号を押す。飛び出し音が鳴る前に声がした。「ちょっと今どこにいる?」『駅前。拾って』「今日は塾なんだよ」『時間、あるよね? 少しでいい』「…だったら何かおごってくれ。腹減ってる」『サンドイッチ?』「普通のにしてくれ」『オッケ、待ってる』 通話を切ってバックにしまいこむ。時間はない。スーパーの惣菜は諦めて、一目散に駅に向かった。 [0回]PR