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一ヶ月切った!

メガヴァリまで一ヶ月切りましたねー!
ひー!
なんだか緊張するなぁ…ううっ…!!
スペース無事頂けましたので準備中です。せっかくなのでヴァリアーメンバー全員の出てくる話を…とかやってます。あーもうどんな本が出るのか楽しみで!あとイベントグッズを買うのが楽しみでなりません…!!
カットはこんなんです。小説サークルのカットってあんまり楽しくないですねー。

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冬コミ&大阪に来ていただいてありがとうございます!

冬コミ、インテ大阪来ていただいてありがとうございます!

差し入れありがとうございます!これ以外にもあったんですが、会場での空腹に負けて食べてしまいました…。犬のおまんじゅうとか、すっごいかわいかったー!
あとおせんべいが地味に染みました…塩分必要ですね。

やはりしるこは外さない…。トレンドはしるこ!ボスの喉をつまらせた禁断の食べ物。聖兄ならウリエルにかっ消されるレベルです。

ライオンのメモとマグネット。ライオンのメモがかっこいい…ww

他にもいろいろいただきました!ありがとうございます!新年の親戚の接待やおやつとして血肉になりました!ありがとうございます…!

インテのワンピサークルでの委託は、荷物の受け取りにトラブルがあって頒布出来ませんでした。
なんで見つからなかったのか訳がわかりません。多分伝票出力した時の機械の不具合ではないかなと予想。どこにもないデータで謎のサークル番号が印字されていたんです…不思議。

次はいよいよメガヴァリです!すごい楽しみです~~チラシも貰ったんですが本当に楽しみ過ぎて!

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あけましておめでとうございます!

昨年度は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いします。
冬コミで新刊を手にとってくださってありがとうございます。
持っていった分は全てなくなりました。
たくさんの方に手にとっていただけてありがとうございます。
差し入れもありがとうございます。
今回は大変な天気で足場も悪く、寒くて大変だったと思いますが、
少しでも新刊が楽しんでいただけましたら幸いです。

また、大阪のシティで新刊・既刊分の委託をお願いしていますので、
よろしかったらご利用ください。
6号館B け38a 小茄子倶楽部(ワンピース)
新刊「まちでうわさのかがやくおうち」
10月既刊「秘密な花園」
あとリボーンスペースのTANGENTIALSideRさんにも委託をお願いする予定です。
詳細わかりましたら更新します。

冬コミ当日は、手慰みに編んだアクリルたわしを新刊既刊問わず購入していただいた方に押し付けてしまいました…いろいろな形を編んだものなので形歪んでいたりしてすみません…。
水をつけて拭くと湯あか、油汚れなどが吸着されて綺麗になります。カップやグラスなどの汚れ落としや洗面所や浴室の掃除にお使いください。熱湯をかけたり、漂白剤を使うとアクリルの性質上、変質することがありますので使わないでください。
スクアーロの色で編んでみたり、ボスの色で編んでみたり、ヴァリアーの隊服っぽい配色でボスとスクアーロバージョンを編んでみたり色々してました…。
ありきたりのモチーフでハートを編んでいたのですが、スクアーロの色で編んだらちょっと洒落にならないことに気がつきました…迂闊。
刺繍のストラップもお求め頂きありがとうございます。
メガヴァリにはもう少し多めに準備して持って行きたいです。

今年もザンスク書くぞ~!

それから今回の新刊の表紙の画像はプチトマトです!
「梅干し?」って言われましたが違いますwww

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まちでうわさの輝くおうち

家の明かりは外に漏らさない。

暗がりで生活するのは苦ではない。
人よりよほど夜目が利く二人は、日本人よりは暗闇に強い。
淡い色の虹彩は光に弱くて、代わりに夜の暗がりのほうが楽は楽だ。
それは若い時分からの習いのようなもの、年を取った今でも、目をつぶって家の中を歩くのに支障はない。
けれどその屋敷は冬のひと時、白く輝く明かりに覆われることになる。
日本の夜は明るいと、極東の国にやってきた当初、二人はそう思っていたが、通りを外れると急に闇が深くなる気配がある。
ハロウィンが終わった途端、家の表にともされる明かりに、不信を抱いたのは仕方のないことだ。
個人の家でそういうことをするということが、あちらではほとんどないのだ。
街中では、公共の街灯以外には外の看板を照らす明かりのワット数や色にも厳しい規定があることがほとんどであるし、田舎でそんなことをすれば、たちまち盗まれたり壊されたりすることが多い。
人がいなくてもものが盗まれたり壊されたりしない国は、世界中で日本だけなのだ。

「……日本って国は平和なんだな」
「そうかもなぁ」
「うちもやるかぁ?」
「なんでそうなる」
「…あんた、すごくやりたそうだぜぇ」

瞳の奥で湧き上がる好奇心を見透かされて、赤い目の男が驚いて隣を見る。銀灰の眼差しは楽しそうに、通りの家の植え込みに飾られた、白と青のLEDの明かりを映して光っていた。
それはまるで、冷たく光る冬の水面に、きらめくダイヤモンドが輝いているよう。

「…見てぇか」
「やってみるかぁ?」
「どんなになるか、気にはなるな」
「やってみようぜぇ。植え込みの剪定はだいたい終わってるしよぉ、小さいのは終わったらすればいいだろぉ」
「剪定してんのか」
「してるぜぇ。日本の落葉って遅いんだなぁ」
「色が変わるのがすげぇ」
「そうだなぁ。空気が違うから色も違うぜぇ」
「今年は綺麗だった」
「暑かったし、急に寒くなったからなぁ」

そんなことを言う隣の男の肌が少し乾いている。
異国の水に洗われて、髪の色が濃くなったような気がすると夏場は思っていたけれど、今は少し、肌が薄くなったようだ。
甘い匂いのボディクリームが体臭と交じり合って、澄んだ夜の空気のようになる。
寒いのでもっと近くで暖を取ろうと抱き寄せた体から、冷たく饐えた青い香りがするのは悪くない。

スクアーロの匂いはまた少し変わった。
若い時分は青くて瑞々しく、長じて後は慣れ親しんだ浅い薄い香りになった。
暗殺部隊という仕事柄、体臭は薄く、香水の類もほとんどつけたことがない。
代謝がいい体はそれでもそれほど匂いが気になるようなことはなく、うっすらと淡い牧草のような香りがするのを、ザンザスは好んでいた記憶がある。
仕事を辞めてから少しは香りを纏うようになり、ザンザスが選んだ青い果物の香りの香水は、スクアーロの体臭と混ざると、えも言われぬ深い、夜の青さを感じさせるものになる。
そんな体を抱き寄せて、体温を感じるのがザンザスは好きなのだ。

「今日買えなかったもんは明日買いに行こうぜぇ」
「面倒だから通販で頼め」
「みかんは来年届くように頼んであるんだけどよぉ、少しだけ買おうぜぇ」
「食べてぇのか」
「この前、加奈子さんから貰ったもらったみかんが、もうそろそろ終わりそうなんだよなぁ」
「家でとれたといって持ってきたアレか。買ったのとは味が違ってよかった」
「なんだか懐かしい味だぜぇ」
「確かにな。ヴァリアーのアジトに植わっていたmandarinoに、似た味があった」
「味一緒だろぉー」

そうしてこのパートナーは、年経ての後も、同性にも異性にもよくモテる。
日本人は外国人に非常に警戒心が強い人種だが、スクアーロはそんなものを軽々と飛び越えてしまうのだ。
乞われて近所の集会に出た直後から、友人を作ってきたのはさすがのザンザスも驚いたものだ。
男女問わずスクアーロには惹かれるものがあるのだろう。
本人は、珍しいし、声が大きいからじゃねぇのか、などと見当違いのことを言っていたけれど。

「買ったみかんは甘すぎる」
「いやかぁ?」
「リンゴにしろ」
「日本のリンゴはでかくて食べきれねぇだろぉ」
「俺が剥くからいい。買え」
「そっかぁ? だったらいいけどよぉ、あんた皮剥くのうまいもんなぁ。あとなんか欲しいもんメモしておけよぉ、明日市場に行くんだからなぁ」
「日本の冬は忙しねぇな」
「クリスマスが終わったら一瞬でお正月だぜぇ」
「カミサマが来るんだったか?」
「年神さまってのが来るんだそうだぁ」
「日本じゃなんでもカミサマだな」
「ホントになぁ」

夜の散歩をしながらあたりの、家の庭のあかりを覗く。
朝が寒いのでなかなか散歩が出来ず、最近は夜になってから歩くようになった。
表通りから少し中に入ったこのあたりは、夜はほとんど車が通らない。
住宅街が途切れた先は畑と田んぼが続いているからが、冬になればあたり一面、茶色の土野原で何もない。
夜は懐中電灯で足元を照らさなければ危ないほど。
遠くのグランドの明かりが唯一の光源、しかし最近はそれもない。
そんな暗さは彼等には懐かしいものでもある。
日本の夜は明るすぎる、赤瞳の男はいつもそう思う。
黒い虹彩を持つ人間が多い日本では、闇はもっと深く感じるのかもしれない。
彼等が街灯の光を眩しいと感じるように。

「明日の夜はケーキ焼くぜぇ」
「チキンは俺が焼く」
「そういえば昼間、ヒバリが来てお歳暮置いてったぜぇ」
「そうか。草壁か?」
「本人が来たぜぇ。今日は十二件回るって言ってたぜぇ」
「あいつも勤勉だな」
「顔見るのも仕事だって言ってたなぁ」
「なるほど」
「なんだろうなぁ。楽しみだぜぇ。まだ見てねぇんだ、一緒に見ようと思ってよぉ。中身なんだろうなぁ? 雲雀の趣味はいいからなぁ」
「そうだな。楽しみだ」


赤い瞳の男は元来真面目な性質だった。
銀の髪の男は派手なことが好きで、面倒見がよくて楽しいことが好きだ。
なので二人して製作した始めての冬の家の飾りつけは、初年こそおそるおそるという感じだったが、翌年はかなり派手になった。
どこからかぎつけたのか知らないが、雲雀恭弥が人を出して、面倒な飾りつけの一部を手伝ってくれたりもした。
二人の屋敷は通りから少し入ったところにあるが、前にも後ろにも家がなかった。
周り中ぐるっと畑でひどく見通しがよいので、離れたところからもよく見えるのだ。
防犯的には杜撰なように見えるが、家には雲雀の会社に直接繋がるホームセキュリティの契約が入っているし、屋敷周りには移転した当初に植えた木が大きく育ち、居間や台所を適度に隠している。
北側に広がる畑の間を区切る生垣もそろそろ人の背くらいにはなってきていて、屋敷の中を覗かれる心配はないし、木立に紛れて赤外線センサーもついている。
お洒落な外観は人目をひくこともあり、綺麗に片づけられた畑は人の視線を呼ぶ。
冬は暗い。
あたりは畑と家しかないから、夜はいくつかの街灯を残して真っ暗だ。
その中で輝く建物は、夢のように美しかった。

それは夜鳴きする子供をあやしに来た母親を慰め、犬を散歩させながら一休みする老人を楽しませ、塾帰りの子供が車窓から目印にする、そんなものになっていた。
闇夜を明るくするには、相当の数の電球が必要である。
虹彩が薄い二人にとっては十分でも、黒い瞳の日本人にはいささか寂しい光の量ではあるが、それでも屋敷の一部分がキラキラと、タイマーに合わせて輝く姿は、乾いた空気の中ではとてもあたたかく感じられることになるだろうことを、主の二人だけが知らなかった。

家の明かりが漏れないように、分厚い遮光カーテンを引いて、その時期は夜を過ごしている。
朝から薪ストーブをつけて、ひがな一日それで暖を取ることにしている。
吹き抜けを通って二階を通った空気が家中を暖め、分厚い壁が外の空気や音を遮る。
手入れの行き届いた屋敷の住人の、生活は本当に慎ましやかだ。
湯たんぽと人肌でシーツをあたためる夜が過ぎる。

「ほら」
「おおっ、ありがとなぁ。やっぱりあんた、リンゴ剥くのうまいよなぁ」

くるくると手の中で赤いリンゴが回る。

ナイフの先から細く長い丸い皮が、踊るように男の手の中から生まれてくるのを、スクアーロは何度も不思議そうに見てしまう。
これは魔法か何かだろうか、分厚い手のひらの中で数回、踊るリンゴがどうして、こんなに綺麗に肌を見せてしまうのだろうか。
確かにこの男の前で、いつまでも服を着ていることが出来ないことは、スクアーロはよく知っているけれども。

「うさぎにでもしてやろうか?」

そもそも欧州のリンゴは小さくて、手のひらに包み込める程度の大きさだ。
皮を向かずそのままかじるか、煮てジャムにしたり、肉のソースにするためにある。
日本のように両手で持たなければならないほど大きく、剥いて生で食べるのが主ではない。
日本の冬を過ごすうち、いろいろなリンゴを食べるようになって、気が付けば、それを剥くのはザンザスの仕事になっていた。
ナイフとは違う日本の包丁の扱い方を、ザンザスはすぐに会得して、スクアーロよりよほど上手に果物の皮を剥いてくれる。

「それは風邪引いたときにとっておいてくれぇ」
「忘れんなよ?」
「忘れるかよぉ! つーか、そもそも風邪なんかひかねぇぞぉ!」
「ナントカは風邪引かねぇって話だしな」
「なんだとぉ!」

寒くなると肩が痛くなるとは、決して言わない連れ合いと一緒に、年が明けたら温泉とスキーに行く予定を思って、赤目の男は目を細める。
子供のように真剣に一途に、しゃくしゃくとリンゴを齧る銀目の男がそれを見て、嬉しそうにはにかんで答える。

「これなんの品種だぁ? この前より酸っぱくねぇなぁ」
「走りのモンは酸っぱいんだ。今はもっと甘いのが出てる」
「みつが入ってるぜぇ」
「甘ぇ」
「俺はこれが好きだなぁ。なんて品種だぁ?」
「おまえがもらってきたんだろうが」
「あー? そうだったっけかぁ?」
「相変わらずホイホイとなんでも貰ってきやがるヤツだな、おまえは」

この夏からスクアーロは知り合いの近所の人にフランス語を教えている。
昔子供部屋があった離れを開放して、そこに人を集め、週一回二時間ほどそこに出かけていって簡単なフランス語を教えることになった。
なんでもその家の娘がフランス人と結婚してあちらに住んでいるそうで、生まれた子供と少しでもフランス語でしゃべりたいのだそうだ。
もう一度フランス旅行がしたいという友人や知り合いなど、毎回五、六人の生徒が集まっている。
費用はテキスト代として毎回五百円づつ払ってもらっている程度だ。
リンゴは生徒の実家のもので、毎年一箱送ってくるものをおすそわけしてもらったものだ。

「味がまだ若いな」
「さすがだぜぇ」

 しゃくしゃく、リンゴを齧る音だけが、ゆっくり回るファンの音に紛れて聞こえる。 


冬の夜は長い。
長い夜を隣に相手を抱き寄せて、すごす年月ももう、四十年が過ぎようとしている。

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冬の新刊など

冬コミの新刊は爺ザンスク本が出ます!
10月の再録本から漏れた爺ザンスク小話+書きおろしの話で1冊になります。
サンプルは取り急ぎpixivの方と一つ前にあげてありますのでご確認ください。
ちょっとナーバスになってる爺鮫がうだうだしている話です。
委託本3冊+無料配布もお預りする予定です。
あとメガヴァリのサークルリストも出ていました。スペース頂けました!
う゛ぉぉい21で参加予定です。冬コミから新しいチラシ配布も始まるようなので楽しみです!!



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まちでうわさのかがやくおうち

ベッドの中から這い出して眺める朝の光が弱い。
 カーテンを開けるためにベッドから降りる、その一歩が一番厳しい。
 寒い季節はとくに辛い。ぬくもりが本当に手放し難い。

「今日も寒ぃなぁー!」

 声を出す。今朝は少しかすれるくらいで済んでいる。
 一緒のベッドで寝るようになって、もう何年になるのだろう。
 さすがに昔のように頻繁に肌を触れ合わせることは少なくなった。皆無という訳ではないが、毎日、近くで手を触れて、体温を感じて寝ているから、それで満足してしまえるようになってはいる。

 ヴァリアーのアジトではわからなかったことがある。
 冬の夜の寝る前の準備だとか、お互い年をとったなぁ、と感じる部分が違うとか。
 そんな些細なこと、けれど大きな違いを感じるようになったことが、まだ嬉しいと思っていることが、不思議で楽しくてたまらない。

「今日も天気がいいみてぇだなぁー」

 カーテンをいきおいよく開ける。
 ペアガラスは結露しないので、朝でも外がよく見える。遅い朝の日差しが家の間から、弱い光を世界に投げている。うっすらと闇から目覚める朝の、その風景を見ることが、スクアーロにはとても楽しい。
 今日も自分が生きていていることが嬉しい。
 ベッドの上には大きなふくらみがあり、その中でぬくもりを惜しんでいるのは、生きていて動いていてしゃべっている愛しい男。
 ザンザスが健康で元気で機嫌よく、生きていることを感じ取れることが嬉しい。
 自分の手で、肌で、それを感じ取れることが、とても。

「おぉい、起きろよぉー」

 カーテンを開けてベッドに戻る。
 ふくらみはぴくりとも動かないが、すでに目が覚めていることはスクアーロにはわかっている。
 だからといってさっさと起きる、という選択肢がザンザスの中にあるわけがないことも。

「起きねぇのかぁー? 一緒に歩くって言ってただろぉー?」

 羽毛布団の中でそっぽをむく背中に手を伸ばせば、ふかふかの最高級ダウンを隔ててさえ、暖かなぬくもりが一つしかない手のひらに伝わってくる。
 純毛の毛布をまくり上げようとした手が、布団の中に引きずり込まれた。

「なんだぁー?」
「寒ぃ」
「まぁなぁ」
「俺は今朝は飯抜きなんだ。少しは付き合え」
「そらそうだけどなぁー」
「検査のために水も飲めねぇ。俺の前で飲み食いするつもりか?」
「するぜえー、しねぇと腹へって、動けねぇからなぁー。俺ぁザンザスと違って腹減るとすぐ動けなくなるんだぜぇ」
「少しは太ってみやがれ」
「年とってから太ると足が悪くなるだろぉー」
「少しの脂肪は財産だ。…寒ぃ」

 握られた腕はぐいぐい引かれるばかり。
 なんだよ、顔を覗き込もうとベッドに膝を乗せたところを、あっという間に引きずり込まれた。

「寒ィ」

 そういいながら少し埃っぽいスクアーロの、銀だか白だかわからない髪に、ザンザスが頬を押し付けてくる。
 ザンザスの腕の中に抱き込まれて、逃げられないように足を絡められた。
 最近二人して寝るときに靴下を履くようになったので、足裏が触れて喧嘩をすることもなくなった。
 ちょうどいい位置に体を動かして、ぎゅっと腕を回して抱きしめる。
 ザンザスに触れているとどうしてこんなにいい気持ちになるのか、スクアーロにはわけがわからない。麻薬とか電波とか色々、この男から出ているんじゃねぇんだろうか、とスクアーロは常々思っているのだけれども、その話をすると大抵の知人は「それは君のほうなんじゃないの」だの「その言葉そっくりそのまんまセンパイに返すよー」だの「あらあらごちそうさま」だの言われてしまうのだ。
 なんでそんなことを言われる筋合いがあるのだろう。ザンザスの姿を見ているだけで、俺はこんなにぐにゃぐにゃになってしまったり、悲しくなったり、嬉しくなったりするのだ。自分の感情を他人に左右されることなどスクアーロには不愉快でしかたないことだったが、ことザンザスが相手だとそれがとてつもなく幸福で気持ちがよくて嬉しいことに感じられてしまうのだから、まったくどうかしているに違いない。
 もういい加減ザンザスだっていい年で、その体も顔も衰えてきているだろうに、それが全然ちっとも醜いとかみっともないとかかっこ悪いとか思えないのもどうかしている。
 年を取るザンザスを眺めて暮らせるのは本当に楽しいことだ。

 最近はザンザスが元気でいることになんだか妙な達成感を感じるようになっている。
 もちろんザンザスを守ることを怠ったことなど一瞬たりともないけれども、いままでのように、力でザンザスの前に立ちふさがる様々な困難や障害を、切り伏せねじ伏せ倒してきたころとは違う心持ちになっているのではないだろうか、という気分になることがある。
 いや、前だってそんな気分になったことはあるけれども、今は体を張ってザンザスを守る立場でなくなったぶん、そちらの思いが強くなっている気がした。
 それは普通母親や妻の立場だろうと、さんざんにからかわれることもあったけれど、確かにこれは母性、あるいは父性なのかもしれないと思う。
 ザンザスが自分の作る野菜や料理で健康で毎日心地よく過ごしていることを確認するときの誇らしさをそう呼ぶのならそうだろう。

「そろそろ起きろよぉー」

 ザンザスはすっかり力を抜いて、スクアーロの腕の中に頭を預けている。
 このままでは本当にまた寝てしまう。
 それじゃ朝の病院の受付に間に合わなくなるぞ、とスクアーロは頭の中で時間を計算する。今日は時間までに、スクアーロが病院までザンザスを送っていくことになっているのだ。
 身支度にはちゃんと時間をかけたい。
 たかが一泊二日の人間ドッグだと言っても、どうせ他人に見せるなら一番かっこいいザンザスを見せつけたいし、ザンザスだってそのほうがいいに決まってる。
 めんどくさがりの癖にカッコつけたがりの男なのだ。
 他人に体を触られることが好きではない男だから、少しでも相手を懐柔出来て、やさしくしてもらえるようにしてやりたいのだ。
 それにスクアーロにとっては本当に、文句なしにいい男なのだから、ザンザスをそうすることに手間を惜しむなどということは考えられない。

「髪洗って、髭剃ってやるからよぉー、そろそろ起きたほうがよくねぇかぁー?」

 めいっぱい甘い声で懐柔する。
 それを聞くとようやく、腕の中の体に力がはいるような気がした。

「本当だな」
「だから早く起きろぉー」

 のそり、大きな獣が起き上がるような心地で、スクアーロは腕の中の体が動くのを感じた。
 布団の中に手を突っ込んで湯たんぽを出す。
 これで顔を拭くのがとても気持ちがいいのだ。

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インテもか…

大阪もか…うう……
一刻も早く犯人が捕まることを祈るしかありません。
なんでこんなことするんだろうな…黒バスサークルさんの悲しみ、作者の辛さを思うとなんだかもう悲しいばかりでなぁ……せつねぇ……。

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大変残念なことが起きてしまいました。

とうとうここまで来てしまったという感じです。
すでに他の情報源においてご存知のかたも多いと思いますが、12月29日から31日に開催されるコミックマーケット83において、度重なる「黒子のバスケ」脅迫事件における被害のさらなる拡大のため、全ての「黒子のバスケ」関連の同人誌の頒布が出来なくなりました。
他のサークルでの委託販売も禁止となりました。
詳細やいきさつはコミックマーケット準備会のサイトにて詳しく経過を明記されておりますので、出来るだけ参加される方はご一読お願いいたします。

コミックマーケット83における『黒子のバスケ』サークル・頒布物対応に関する緊急のお知らせ
コミックマーケット83における警備強化に関する緊急のお知らせが出されていますので、一般参加者はこちらもご覧ください。
前に脅迫事件があった時も同じように荷物確認をしましたが、今回はそれ以上に過敏になる可能性がありますので、一般入場には大変時間がかかる可能性があります。体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
また、コミックマーケット開催まであまり日がなく、すでにカタログも販売している状態なので、このような状況を知らない人も多いと思われます。
このブログを見ている方で、友人、知人にコミックマーケットに一般参加される方がもしおりましたら、その方にもこの情報をお伝えください。
なるべく多くの一般参加者に、公式サイトの見解を読んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
こちらの記事も経過についてくわしく述べられています。
http://oh-news.net/comic/?p=64344

これは黒子のバスケというジャンルだけの話ではなく、同人誌を行う全ての人への脅迫だと思っています。
男性向け、アニメ、ゲーム、音楽、全てのジャンルのコミックマーケット参加者やそれ以外の全ての同人誌即売会参加者への脅迫であると思います。
オリジナルか二次創作かの問題でもなく、男性向け、女性向けの違いでもありません。
こうしてコミックマーケットで一番勢いのあるジャンルを潰そうとしているということは、日本から同人誌文化というものをなくそうとしているのではないのか、とすら思えます。(コミックマーケットという現場に、市場としての魅力がなくなってしまう、ということは日本における映像ソフトカルチャー全ての力を削ぐことと同義だと思えます。そう解釈されるだろう可能性がある、ということも含めても)
日本が海外に売り出せる商品を潰そうとしていることは、大変大きな問題です。国家的陰謀論が出てもおかしくないレベルの話でしょう。(自分が今中高生だったらそういう説を語ってるに違いない…(;´∀`)

一刻も早く犯人が捕まることを祈るばかりです。
多分今日一日で数十万人の呪詛を受けてるんだろうなー。
HPが削られる地味な呪いを送りたい。親知らずが虫歯になるとか、切れ痔がひどくなって座れなくなるとかの呪いを送ってやる……( ´ω`)ノ三【呪】


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チェールケミカルラッセルソルブロン

手渡された箱の中身にスクアーロの目玉が零れるほどに見開かれた。
ぱちぱち、まばたきの音がするんじゃないかと思うほど、長い睫毛がせわしなく上下する。
ザンザスはそれを顎に手の甲を当てて鷹揚に眺める。まずは第一。この顔が見たかった。
予想以上に驚いた顔に、ザンザスは大変深く満足する。最近はスクアーロはあまり怒らなくなって、不器用ながらに表情を隠そうとするようになっている。ぞれは全然成功していないが、なるべく、つとめて、表情を出さないようにしているのが分かる程度には、隠そう、などという小賢しい真似をするようになった。
そんなことはしなくてもいいのだ。
次に視線がこちらに向けられる。また箱のなかに戻る。二度ほどそれを繰り返し、スクアーロの唇が何か言おうと息を吸う。
「サイズはあってる」
すうっと吸った呼吸が、吐き出される前に止まる。ヒッ、という音になる。
「特注だ」
次にどんな言葉が続くのかを知っている。バカな、冗談じゃない、何考えてるんだ、おまえどうかしてるんじゃねーのか、おおよそ考えつく限りの罵詈雑言をスクアーロの口は吐き出すだろう。
そうなる前に言葉を封じることが出来るとは思わないが--それを聞くのも悪くはないが--言いたいことを言うほうが先だ。
「着るな?」
「…本気かぁ…?」
「お前に選択肢は二つある。ここで着るか、あとで着るかだ」
「一応聞くけど、あとっていつなんだ?」
「そうだな、……明日の夜から明後日までとかどうだ?」
「…冗談、……」
「ここで着るなら明日の朝まででいい」
「……俺が着ないって選択肢はねぇのかぁ?」
「ねぇ」
スクアーロががっくりと項垂れる。しばらく脳内で色々くだらないことを考えているのが見て取れる。お前が何を考えていても、それには大した意味はない。どうせ最後には俺の思う通りになるのだ。
「…今日の仕事、」
「何もねぇだろ。明日から休暇だしな」
「わかっててやってんだろ…」
「そうだ」
ザンザスはとても嬉しそうに笑う。それはまさしく悪魔の微笑みだ。スクアーロはそれに一瞬見とれてしまい、次の瞬間には悔しさにぐっと奥歯を噛み締める。悔しい。何が楽しいのかスクアーロにはわからない。けれど確実に今ボスはとても楽しそうだ。
嫌がらせに過ぎないことはわかっている。スクアーロのプライドをへし折るのが楽しいのだ。わかっているのに、そうされるのが悔しくて仕方ない。
「ここで脱げ」
心底嫌そうにスクアーロが手の中の箱の中身を見る。そうしてまたザンザスを見る。
「ここでかぁ」
「そうだ」

スクアーロは手元の箱を手近のソファに置く。箱は淡いピンクの薄いものだ。上質なパールでコートされていて、可憐でありながらシンプルなロゴが控えめに印刷されている。
それを嫌そうに見ながら、スクアーロはシャツのボタンに手をかける。ぷちぷちと手早くボタンを外す。スクアーロは片手が義手だが、非常に器用にて日常生活の動作をこなす。
シャツのボタンを外すのもお手の物だ。
ズボンの中からシャツを出して全部前を外し、それを肩からばさっと脱ごうとしたところでザンザスから停止の合図が入る。もっとゆっくり脱げと言われる。スクアーロには意味がわからない。けれどそれのいうことを聞かないという理由がない。理由がないからいうなりに、ゆっくりシャツを脱ぐ。手首でシャツが止まる。片手を順番に抜く。
アンダーのシャツをまくりあげる。手を上げ下げするたびに、スクアーロの体から服が消える。
それをザンザスはただ見つめている。視線をそらなさい。その視線には熱がない。
下着まで全部脱ぎ捨てたスクアーロの、薄いしなやかな体が嫌そうに箱に体を向ける。半分背を向けたスクアーロの、長く伸びた髪の下から、こぶりで形のいい尻が見えるのはなかなかによい眺めだ。ザンザスはそれが見たくて、ときどきスクアーロの後ろ姿を眺めている。

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プリンタ復活~!

修理に出していたプリンタがやっと戻って来ました。
いろいろ消耗部品を全部取り替えてもらったのでしばらくは大丈夫です。
ドラムユニットとインクユニットと廃インク吸収体というプリンタの三大修理箇所全部部品交換してもらえたので、あと2万枚くらいは印刷出来ます。
冬コミ用に製本とノベルティ作ります。
最終回と季節的なものでちょっとぐったりしていたのがようやく治まったので冬コミの準備をモリモリしたいと思います…久しぶりにスペース頂けましたものね
湯たんぽを出してヒートテック着て寝るようになったら体の不調はかなり改善しました。

鮫さんの足の裏は冷たそうだ

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